船士詩 ~9~ 光陰
錦繍や 光陰織りなす 旅人かな
きんしゅうや こういんおりなす たびとかな
松尾芭蕉の「おくのほそ道」の序文に有名な一説があります。
月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。
月日というのは、永遠に旅を続ける旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年もまた同じように旅人である。
船頭として船の上に生涯を浮かべ、馬子として馬の轡(くつわ)を引いて老いを迎える者は、毎日旅をして旅を住処(すみか)としているようなものである。
保津峡を彩るもみじ葉たち
年月、そして光と影が織りなす錦のよう
それはまさに季節を移ろう旅人
われも保津川の時を旅する舟人
あなたもまた保津川の季節を旅する旅人
そんな旅人たちが
時を越えて出逢う場所
それが錦繍の保津峡
船士魂