船士詩 ~77~ 五月雨と岩躑躅
五月雨や 想いに濡れる 岩躑躅
さみだれや おもいにぬれる いわつつじ
平年よりも10日早く梅雨入りをした近畿地方。
ここ保津川も、時折しとしとと雨の降る一日でした。
梅雨入りに答えるかのように、保津峡に梅雨の花・「岩つつじ」が咲き始めています。
岩肌に可憐に朱く咲く岩つつじ。
かつては、岩肌を覆い尽くすように咲いていたそうですが、心なきハイカーや鹿の食害により、数が減ってきたと言われています。
そんな中、保津峡の美しき景観を取り戻そうと、毎年、「亀岡山野草を守る会」や「亀岡市観光協会」のみなさんが、保津川下りの舟に乗って植樹をされておられます。
昨年の植樹の様子は下記をクリック!!!
船頭ブログ 「岩つつじ植樹船出航!」
そのおかげでしょうか、年々、岩つつじが咲く姿が多く見られるようになってきました。
そして、今日、その植樹事業が行われました。
雨露に濡れた瑞々しき新緑の下、植樹作業が行われたようです。
しかし、雨の降る中、岩場での植樹作業は危険を伴い、体力も必要です。参加されたみなさまには頭が下がる思いです。
みなさま、お疲れさまです。そしてありがとうございます。
明治の俳人・正岡子規は保津川を下り、こんな句を詠んでいます。
下り舟 岩に松あり 躑躅あり
まさに、ここ保津峡の鵜飼ヶ浜の情景を詠んだものではないでしょうか!
松枯れにより、松の数は減ってきましたが、ここ鵜飼ヶ浜には多くの松が茂り、美しき岩つつじを見ることができます。
明治の俳人が見た世界がまだ保津峡には残っています。
毎年、岩つつじの開花を待ち焦がれる人々、そして、その世界を絶やすまいと奮闘する人々がいます。
五月雨の中、さまざまな想いに濡れた岩つつじが、そっと保津峡に咲いています。