船士詩 ~42~ 筏の縁
春の鳶 筏の縁を 手繰り寄せ
はるのとび いかだのえんを たぐりよせ
3月19日、滋賀県高島市朽木の観光ガイドグループの方々がご乗船されました。
某大学の研究員をされているSさんから、保津川(桂川)の筏流しについてお話を伺えませんか、という依頼がありました。
彼女は昨年1年間、滋賀県高島市を流れる安曇川の筏の調査をされていたようです。
不肖の私も、少しは保津川の筏流しについて研究してますので、約1時間ほどお話をさせていただくことになりました。
このグループ方々は勉強熱心な方々ばかりで、安曇川の筏の歴史について造詣が深く、保津川との類似点や相違点など様々な意見が飛び交い、私の方が大変勉強になりました。
保津川と安曇川の地図(わかりにくいかな・・・)
保津川と安曇川は同じ丹波高地を源流域とし、本流や支流の流れが近いことから、なにがしかの歴史的、文化的交流があったのではないでしょうか。現に筏に関する名称等類似点が多々ありました。
あっという間に時間が過ぎ、いよいよ、フィールドワークのため、いよいよ保津川下りに乗船です。私もガイド役で乗船させていただきました。
この日は、汗ばむほどの陽気で、昨日の雨の影響で水量も多く、迫力満点!スピード感もあり、涼しい風がやさしく頬を撫でてくれます。
水飛沫をあげ「小鮎の滝」を下る舟!
私も思わず大興奮!お客様目線もいいものです(笑)
トロッコ列車にご挨拶。この後、鹿や猿と出会い、乗船客も喜んでおられました。
船頭の名調子にうなずき、迷調子に大爆笑しながら・・・舟は下ります。
冗談を言っていた船頭も難所に入るとこの姿!
明らかにカメラを意識しています(笑)
光輝く山々に、船頭衆の汗も光ります・・・ほんと今日は暑いくらいでした。
時折、私の方から、木材を搬出した場所や筏を組んだ場所、筏流しが行われていた支流など、筏の解説を交えながら、舟は流れていきます。
嵐山に着くと、みなさん、この笑顔!私が一番笑っているかも(笑)
一同、春の陽気、素晴らしい景色、迫力満点の流れ、そして船頭トークに満足されたようです。私もガイド役としてホッとした瞬間でした。
渡月橋を見ながら、みなさんとはお別れとなりましたが、みなさんから朽木へのご招待を受けました。
Sさんが朽木で筏のフィールドワークを企画したいとおっしゃってましたので、安曇川のほとりを歩きながら、筏を含めた水運について語り合ってみたいなぁ~と思っています。ただ安曇川がみたいだけかも・・・船頭病ですね(笑)
保津川と安曇川
同じ山系から流れ出る川は、一つは大阪湾へ、一つは琵琶湖へ。流れる道は違えども、そこに集う人々の想いはいっしょ、そんな思いを抱きました。
筏師が筏を組む時、木材同士をトビという道具で手繰り寄せるように、筏流しが縁で、素敵な人たちに出会えました。そんなことを想いながら、空高く舞う鳶を眺めていました。
船士魂