船士詩 ~36~ 柿行灯
柿行灯 遙かな想い 去来する
かきあんどん はるかなおもい きょらいする
12月17日に幕を閉じた京都・嵐山花灯路。
可愛い行灯をご紹介。
小倉山のふもと、嵯峨野にある落柿舎(らくししゃ)に、落柿ならぬ柿行灯が灯っていました。
落柿舎は、江戸時代前期の俳人・向井去来が隠棲した草庵を再建したものです。
落柿舎の名の由来は、草庵にあった40本の柿の木が、嵐により、一夜にして全部の実を落としたことから名付けられたと言われています。
去来は「落柿舎記」にその顛末と一句を書き記しています。
柿ぬしや 木ずゑはちかき あらし山 去来
落柿を模した柿行灯。
闇夜に仄かに灯る情景は、遙かなる昔を想起させます。
そして、遙かなる未来をそっと灯す ‘ともしび’ とも思えてきます。
師走の慌ただしく、世知がない世の中であればこそ、
慎ましくとも凛として生きていく、そんな想いを抱きました。
船士魂