竿すげ(拵え)
竿は、冬季の間に切ってきます。
一年近く乾燥させると強度が増します。
青竹だと重たくて、すぐに曲がって使い物にならない時が有ります。
使用する竿の長さは3メートル50センチほど有りますが、いちいち計って切りません。
竹を切る目安としては、人が両手を広げた長さ×2+一節ぐらいの長さがベストですが、一節は個人差が有ります。
また、竹は真っ直ぐに伸びている物ばかりでは無く曲がったりしています。
極端に曲がっている竹は始めから切りません。
少しの曲がりならば、丸めた新聞紙に火を着けて曲がりの部分を炙ります。
炙った部分を二股の枝に突っ込んで 『こでて』 (てこの原理で) 伸ばします。
伸 ばし終えれば、火で炙り伸ばしだ部分を水で冷やします。
そうする事により元に戻らず真っ直ぐになります。
次は、竿の元口の節に ドンガメ(鉄のリング) をはめ込みます (割れ裂けない為)。
これも、すんなりと、はめられませんのでリングの大きさに竿の節より下を竿くり(小刀)で削ります。
削り終えれば金槌と釘締め等の道具でかち込みます。
次にかち込んだ側の竿の穴を竿くりで円錐状に削ります。
目安としては、自分の人差し指がスポッと入るぐらいに削ります。
そして、削った次の二節目を鋭利な細い棒を突いて1センチ弱の穴を開けます。
次に、竿の先となる竿尻を作ります。
竿尻に使う木は、雑木の一種で『そよご』(さえご)の木を使います。
乾燥すれば硬いのですが、切った直ぐは柔らかい木です。
この硬さが竿の先には最適なのです。
それを、鎌で竿の穴の大きさに削ります。
分かり易く言えば、鉛筆の先の様な感じに仕上げます。
それを竿に突き刺します。
後は、差し込んだ反対を真っ直ぐに削ります。
この作業も末口(握り手)から削る方を睨みながら削ります。
とにかく真っ直ぐに仕上げます。 と言った感じで竿は出来上がっていきます。
ベテランで年間5〜6本は使用します。
新人なら10本以上は必要です。
何故なら、川底には、岩場や砂利、砂地が有り、どこでも差すと岩との隙間に刺さり抜けなくなったり折れたりと失う事が良く有るのです。
それを熟知するのにも結構な年数が必要なんです。
竿を上手く差せる様になるのに最低でも3年はゆうに掛かると思います。
この様な工程で一本の竿を仕上げます。
だから、船頭は竿を大事に扱います。
嵐山からトラックで船と竿を積んで帰って来て貰います。
その竿が帰って来たら先輩の竿と自分の竿を竿棚に仕舞ってから帰るのも修行の一つです。
保津川下り404年の伝統をこれからも一丸となり次代に受け継いで行きたいと思います。
taka